ジフェンヒドラミン塩酸塩(じふぇんひどらみんえんさんえん)
Diphenhydramine hydrochloride

作用と特徴

末梢、中枢神経系に広く分布する生理活性物質であるヒスタミンの働きを阻害し、くしゃみ、鼻水、かゆみ、腫れなどのアレルギー症状を抑える成分です。総合感冒薬(かぜ薬)や鼻炎薬、外用のかゆみ止めなどに含まれており、抗ヒスタミン作用によって脳の活動が抑えられ、眠気が起こることが知られています。この作用を転用して、一時的に寝つきが悪い時や眠りが浅い時の睡眠改善薬にも用いられています。

注意事項

使用により眠気が起こるため、服用後の自動車の運転や危険を伴う機械操作などは控えてください。慢性的に不眠の症状がある人や不眠症と診断されている人、妊娠中または授乳中の人、緑内障や前立腺肥大の人は使用できません。この成分が含まれたかぜ薬や鼻炎薬、乗り物酔い止め薬などとの併用は避けてください。また、アルコールとの併用も厳禁です。
使用後にめまいや頭痛、頭重感などを感じた時や、口の渇き、下痢などが続いた時は使用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

ちょっと一息

睡眠改善薬の登場

ジフェンヒドラミン塩酸塩が誕生したのは1940年代で、日本では1950年に発売が始まりました。もともとアレルギー疾患の治療に用いられていた薬ですが、睡眠改善薬として市販薬で使用されるようになったのは2000年代のことです。その背景には、国による「セルフメディケーション」の推進がありました。セルフメディケーションとは「自分の健康に責任を持ち、軽い症状は自分でケアする」こと。そのために、医療用医薬品(医師の処方せんがないと出せない薬)から一般用医薬品(市販薬)へ転用される薬の範囲が広がりました。
医療用から一般用への転用を認められた薬を「スイッチOTC医薬品」といいます。 OTCとは「オーバー・ザ・カウンター」の略で、「薬局のカウンター越しに」買える一般薬という意味です。OTCの睡眠改善薬であるジフェンヒドラミン塩酸塩製剤は、2~3日程度の一時的な不眠に使用するもので、慢性的な不眠や精神神経疾患に伴う睡眠障害などには使用できません。不眠が長引く場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
監修プロフィール
鈴木 龍一郎先生
城西大学薬学部 准教授 すずき・りゅういちろう鈴木 龍一郎先生

1999年明治薬科大学薬学部卒業。05年同大学大学院薬学研究科修了(博士(薬学))。 独立行政法人理化学研究所長田抗生物質研究室協力研究員、 大正製薬株式会社セルフメディケーション開発研究所主任研究員補などを経て、 17年より現職。日本薬学会、日本生薬学会(代議員)、日本臨床化学会(評議員)所属。

<分子構造モデル・構造式制作 協力>
城西大学大学院薬学研究科博士後期課程1年 佐野愛子さん
城西大学大学院薬学研究科博士前期課程2年 見沢沙瑛さん

※この内容は成分の一般的な特徴について記したものです。
製品の効能とは異なりますので、詳しくは製品の解説をご確認ください。