原因を知って正しくケア 気になる「のぼせ」

気になる「のぼせ」

悩ましい更年期症状の1つである「のぼせ」。
この不快な症状を、我慢してやり過ごすのではなく
適切なセルフケアや治療によって症状の緩和や予防に努めましょう!
その前向きな取り組みは、健康への大きな自信につながるはずです。
<目次>
Q1. のぼせが起こるのはなぜ?
Q2.更年期ののぼせ、特徴的な症状は?
Q3.のぼせが起きた時は どうしたらいい?
Q4.のぼせを防ぐ セルフケアはありますか?
Q5.食事で気をつけるポイントは?
Q6.病院ではどのような治療を受けられますか?
Q7.更年期の体と どう向き合ったらいい?

Q1 のぼせが起こるのはなぜ?

A1 自律神経の乱れが原因。女性ホルモンの乱れも影響が。


のぼせとは、体がカーッと熱くなったり、頭がぼーっとしたりする症状をいいます。これは、血管の収縮・拡張をコントロールする自律神経の乱れによって起こるもので、一種の自律神経失調症状です。
自律神経と女性ホルモンは同じ脳の視床下部でコントロールされているため、両者は密接な関係にあります。女性ホルモンの分泌が不安定になると、その影響を受けて自律神経も乱れてしまうことに(左図参照)。ホルモン変動の大きい更年期はもちろん、思春期や妊娠中、産後、月経前なども、のぼせの症状が起こりやすいといえます。
気をつけなければいけないのが、病気の症状としてのぼせが現れているケースです。甲状腺の機能が亢進する「バセドウ病」の他、高血圧、心臓病、糖尿病などでも、のぼせや多汗が現れることがあるので、気になる症状が2週間以上続く場合は、きちんと受診して原因を確かめるようにしましょう。
さらに、ストレス、過労、睡眠不足、冷え、運動不足といった自律神経が乱れやすい生活習慣は、のぼせの引き金に。症状を繰り返す場合はライフスタイルの見直しが必要です。

column:「冷えのぼせ」とは

下半身や手足は冷えているのに上半身や顔は熱くなることがあります。これは漢方でいう「冷えのぼせ」の状態で、熱がうまくまわらない「冷え症」の症状の1つです。更年期に多く見られますが、最近は若年化しており、20~30代でも見られます。生まれた時からエアコンを使う環境で体温調節機能が未発達なことに加え、ストレス、運動不足、体を冷やしやすい食生活や服装などが背景にあると考えられます。

Q2 更年期ののぼせ、特徴的な症状は?

A2 熱感と発汗が典型的ですが現れ方は人により様々です。


40代半ば〜50代半ばの人で月経不順があり、のぼせがしばしば起こるようになった場合は、更年期症状の可能性があります。
更年期症状としてののぼせは、急激かつ発作的に起こるのが特徴で、「ホットフラッシュ」とも呼ばれます。顔や上半身がカーッと熱くなり、汗が出て止まらなくなるのが典型的な症状ですが、全身が熱く感じる人もいれば、頭の後ろや手のひらだけなど体の一部だけ熱く感じる人もおり、熱い感覚と寒い感覚がまだらに現れる人もいます。汗がぼたぼたと垂れるように出る人も、熱感だけで汗は出ない人もいて、その訴えは一人ひとり異なり、非常に多彩です。
症状の程度も様々で、軽い人もいれば、生活に支障を来すほど重い人も。ただし、ほとんどの人は閉経後数年以内にはこうした症状が落ち着きます。

更年期の「のぼせ」の症状(一例)


  • ●顔がカーッと熱くなる
  • ●汗が止まらない
  • ●頭や首の後ろだけ熱くなる
  • ●発汗はなく、熱感だけ
  • ●体全体が熱くなる
  • ●熱感はなく、発汗だけ
  • ●上半身だけ熱くなり、下半身は冷たい
  • ●胸がドキドキする

Q3 のぼせが起きた時は どうしたらいい?

A3 腹式呼吸や精油などで対処しましょう。


特に更年期ののぼせは急に起こるためパニックになりがちですが、落ち着いて対処しましょう。
症状が現れた時、まず行いたいのが深呼吸(腹式呼吸)です。深い呼吸は自律神経にアプローチし、副交感神経を優位にして症状を鎮めてくれます。
精油(エッセンシャルオイル)も有効です。嗅覚を通して自律神経に素早く作用し、鎮静効果を発揮してくれます。精油を携帯し、症状が起こった時に嗅いでみてください。
首筋や後頭部などほてっているところを保冷剤などで冷やすのもよいでしょう。皮膚反射によりのぼせの反応が治まります。
このように、のぼせの対処法を知っていると安心感が得られ、それによってのぼせの頻度が減ったり症状が軽減したりする効果も期待できます。

Q4 のぼせを防ぐ セルフケアはありますか?

A4 入浴や運動で汗をかき自律神経のメリハリをつけて。


のぼせを緩和・予防するには、自律神経を整えることが大切です。現代女性は常に時間に追われ、心身を緩める時間がない人が多く、自律神経のうち活動モードの交感神経が緊張した状態がずっと続いています。
そこで意識したいのが、活動と休息のメリハリをつけること。仕事などで神経を使った後は、リラックスモードに切り替えるようにしましょう。それには入浴が最適です。ゆっくり湯船に浸かって温まり、心身を緩めてあげましょう。のぼせで汗をかきやすい人の中には、お風呂を避けてシャワーだけで済ませる人がいますが、入浴でじんわりと温まって出る汗はよい汗です。体が冷えるとのぼせを助長してしまうため、冬場はなるべく湯船に浸かって温めるようにしましょう。
適度な運動を習慣化することも大事です。ウォーキングなどの有酸素運動で汗をかくことは、体温調節機能に好影響。自律神経のバランスも整います。
また、温かいハーブティーを摂るのも効果的。のぼせや多汗を抑える効果があるセージやゼラニウムには、女性ホルモンを活発にする働きもあり、おすすめです。

Q5 食事で気をつけるポイントは?

A5 血や肉になるタンパク質をしっかり摂りましょう。


のぼせの緩和・予防のために食生活も見直していきましょう。何よりも基本的な栄養素をきちんと摂ることが第一。例えば野菜や玄米は健康食ですが、それだけでは栄養が偏ってしまいます。血や肉になるタンパク質をしっかり摂り、女性に不足しがちなビタミン、ミネラルも十分に摂るよう心がけましょう。
こうしたベースとなる栄養素に加え、体の調子を整える機能性表示食品やサプリメントを活用するのもおすすめ。サプリは漫然と摂るのでなく、「ホルモンバランスを整えるため」「骨を強くするため」など、目的をもって必要なものを摂ることが大事です。
食事をする環境も大切です。おいしく楽しく食べれば栄養の吸収もよくなり、代謝が活発に。気持ちもリラックスすることで自律神経の働きにも好影響を及ぼします。

Q6 病院ではどのような治療を受けられますか?

A6 ホルモン補充療法(HRT)や漢方などで治療します。


更年期症状がひどく、日常生活に支障を来してしまう場合を「更年期障害」といい、治療の対象となります。のぼせがつらい時は一人で悩まずに、婦人科で相談してください。
治療は症状の緩和を目的に行われます。現在の主流は、体に足りなくなったエストロゲンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、漢方です。必要な場合は抗うつ薬や抗不安薬が処方されることもあり、生活指導も併せて行われます。
いずれもカウンセリングをし、ホルモンの測定など基本的な検査をした上で、その人の体質、現在出ている症状、生活環境などを考慮して治療法が選択されます。1回受診して終わりではなく、経時的に状態を見ながら処方などを変えていきます。

POINT:ホルモン補充療法(HRT)とは?

錠剤や皮膚に塗るジェル、貼るパッチなどにより女性ホルモン剤を投与する治療法で、のぼせを含む更年期の様々な不定愁訴の改善に取り入れられている。HRTはまた、胃腸、筋肉、関節、骨などの不快症状の軽減にも用いられる他、大腸がん、骨粗鬆症などのリスクを低減する効果も実証されている。現在、HRTのほとんどは保険適用。

Q7 更年期の体と どう向き合ったらいい?

A7 焦らずに、1つひとつ不調を克服していきましょう。


更年期は1つの症状が治まったと思えば次の不調が現れるといったように、常に揺れ動いています。そのため「今はこういう時期」と受け止め、落ち込んだり焦ったりしないことが大切です。のぼせなどの不調を体からのメッセージと捉え、自分の健康を見直すきっかけにしていきましょう。
中にはこれといった不調もなく過ぎる人もいますが、こうした人は自分の健康を過信してしまいがちなのでかえって危険です。更年期はこれまでの食事や運動などの生活習慣を見直す時期。この機会に健康に関する情報を意欲的に収集し、実践していってはいかがでしょうか。
閉経後は女性ホルモンの分泌がなくなり、中性脂肪やコレステロールの値が高くなりがちです。健診を定期的に受け、動脈硬化の有無などをチェックすることも大切です。
人生百年時代の今では、更年期はまだ人生の折り返し地点。更年期をどのように過ごしたかによって、その後の健康に大きな差が現れてきます。健康的な食事や運動を習慣化し、日々実践していくことが大切です。