『新型コロナウイルスワクチン』接種後の副反応と、つらさをやわらげたい時の解熱鎮痛剤アセトアミノフェンののみ方とは?

2021年6月現在、日本では高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいます。その後、64歳以下へと接種対象が広がりつつありますが、新しいワクチンのため副反応が気になっている人も多いことでしょう。

そこで、新型コロナウイルスワクチンに詳しい、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学分野 教授の森内浩幸先生に、新型コロナワクチン接種後の副反応とはどういうものなのか。また、副反応がつらい場合はアセトアミノフェンなど市販の解熱鎮痛剤を使ってもよいのか、その場合に注意することはあるのか、詳しくうかがいました。
※本記事は2021年5月31日時点の情報をもとに作成しています。最新情報は厚生労働省の「コロナワクチンナビ」などのページでご確認ください。


<目次>
1.新型コロナワクチンは、どんな副反応が起こる?インフルエンザワクチンと比べて副反応が出やすいの?
2.新型コロナワクチンは、2回目の接種後の副反応の方が強いのはなぜ?
3.ワクチン接種後の副反応がつらい時は市販の解熱鎮痛剤をのむのも一案。ただし予防的にのむのはNG!
4.アセトアミノフェンなど様々な種類がある解熱鎮痛剤。ワクチン接種後の副反応がつらい時、どれを選ぶ?
5.この発熱は副反応?それともコロナ?解熱鎮痛剤を使用する前に注意が必要なケースとは?
6.ワクチンの情報を正しく知り、“正しく恐れる”ために私たちができること

新型コロナワクチンは、どんな副反応が起こる?インフルエンザワクチンと比べて副反応が出やすいの?

まず、新型コロナワクチンの副反応にはどのようなものがあるのか、身近なインフルエンザワクチンとの比較で教えていただきました。

「インフルエンザワクチンと比べて、新型コロナワクチンは、注射を打った場所の腫れや痛みが比較的起こりやすいといえます。また、新型コロナワクチンの特徴として、2回目のワクチン接種後に発熱や倦怠感が起こりやすいということが挙げられます。その他にも、頭痛、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢といった報告もあります。特に若い人の場合、2回目のワクチン接種の翌日に熱が出たり、体がだるかったりして仕事にならない……といったケースもあります」と、森内先生。

そのため厚生労働省などが推進するように、『ワクチン休暇』がとれる人は、ワクチン接種日と翌日に休暇をとる心づもりで受けると安心であり、副反応による痛みや腫れ、発熱の症状がつらいようであれば、症状をやわらげる解熱鎮痛剤を使ってもかまわないと森内先生は話します。

「何より大切なのは、“備えがあれば、副反応は過剰に恐れるべきものではない”ということ。私自身は“副反応”とは言わず “炎症反応”と呼んでいますが、これは、ワクチンに反応して抗体をつくる、本来望ましい反応をつくるための準備段階とも言えます。このように副反応が起きるしくみを知れば、副反応が決して悪いものではないことが分かると思います。

一般的に、高齢者よりも若い人の方が副反応は強く出ます。これは『免疫応答(めんえきおうとう)』という、ウイルスなどの病原体から体を守る免疫機能が反応する力が強いためです。副反応が強いということはつまり、体を防御する力が強いと受け止めてください。年を重ねるにつれて免疫応答は低下してしまうため、高齢になると副反応が強く出ない代わりに、ウイルスに対する抗体がつく力も弱くなってしまうのです」。

新型コロナワクチンは、2回目の接種後の副反応の方が強いのはなぜ?

私たちの体の中には、大きく分けて2つの免疫があります。1つは、新型コロナウイルスなど、特定の病原体に対して抗体をつくる『獲得免疫(かくとくめんえき)』。もう1つは私たちの体に最初から備わっていて、初めて体内に入ってくる病原体に幅広く、すぐに対応する『自然免疫』です。ワクチンとは、人工的に疑似感染の状態にして獲得免疫をつくり、本物の病原体に備えるものです。

これまで、病原体への感染を記憶する、いわゆる『免疫の記憶』があるのは獲得免疫だけだと考えられていましたが、最近では自然免疫にも、こうした記憶が残ることが分かってきました。

「例えばかぜに2回かかったとしましょう。まずAというかぜにかかると、その後しばらくは自然免疫がスタンバイした状態で体に残り続けます。次にBという別のウイルスが原因のかぜにかかった時にも、Aのかぜにかかった時の体の状態の記憶があるので、自然免疫がすぐに反応するのです。同様のことがワクチンでも起こります。2回目のワクチンを接種すると、1回目の接種でスタンバイしていた自然免疫の記憶がすぐに反応するため、より早く、強い反応が起こるのです。自然免疫と獲得免疫というのは連動して働いており、ワクチンによって自然免疫が反応して炎症が起きると、その弾みで獲得免疫も働き始めます」。

2回目の接種では、接種した腕のみにとどまらず全身に炎症反応が及びやすく、発熱や倦怠感などの副反応が起きやすい理由には、このような自然免疫の働きがあったのです。

ワクチン接種後の副反応がつらい時は市販の解熱鎮痛剤をのむのも一案。ただし予防的にのむのはNG!

新型コロナウイルスワクチンの副反応のピークは接種の翌日で、そこから徐々に弱まっていきます。ワクチン接種翌日に発熱したり、倦怠感があってつらかったりする場合には、市販の解熱鎮痛剤をのんでもよいのでしょうか。

森内先生は、つらさの感じ方には個人差があるので、“熱の高さ”ではなく、“どのくらい自分の体がつらいか”という基準で、対症療法として市販の解熱鎮痛剤を使ってもかまわないといいます。

「微熱や少しだるい程度で薬をのむ必要はありませんが、37℃台後半の発熱でも、すごくつらい人はつらいですし、39℃近くあっても平気な人もいます。痛みや熱、倦怠感がつらくて眠れない、食事や水分も摂れないというような場合では体が弱ってしまうので、解熱鎮痛剤で症状を緩和して睡眠や食事をとれるようにするとよいでしょう」。

ただし、副反応を予防したいがために、ワクチンの接種前にあらかじめ解熱鎮痛剤をのんでおくことは絶対に避けてほしいといいます。

アセトアミノフェンなど様々な種類がある解熱鎮痛剤。ワクチン接種後の副反応がつらい時、どれを選ぶ?

解熱鎮痛剤には様々な種類がありますが、どれを選択するのがよいのでしょうか。

「解熱鎮痛剤には、アスピリンやロキソプロフェン、イブプロフェンなどの『NSAIDs(エヌセイズ=非ステロイド性抗炎症薬)』と呼ばれる種類の薬と、より抗炎症作用の少ないアセトアミノフェンという薬があります。私は、解熱鎮痛剤を使うのであれば安全性が比較的高いアセトアミノフェンが第一選択薬であるとお伝えしています」。

この発熱は副反応?それともコロナ?解熱鎮痛剤を使用する前に注意が必要なケースとは?

発熱や倦怠感が起こった時、それがワクチン接種後の副反応によるものなのか、たまたま同じ時期に新型コロナウイルスに感染していたのか判断に迷ってしまった場合は、“呼吸器症状の有無”や“副反応のタイミング”が見分けるポイントになるといいます。

「ワクチンを接種した後でも、発熱や倦怠感だけではなく、せきやのどの痛みなどの呼吸器症状がある場合は注意が必要です。新型コロナウイルスに罹患(りかん)した場合は、せきやのどの痛みなど、何らかの呼吸器症状があるのが普通です。もしもせきやのどの痛みがあるという場合には、そのことを電話などで伝えた上で、かかりつけ医の指示を仰いで受診してください。また、副反応のピークは接種の翌日ですが、翌日は何ともなかったのに2日後、3日目になって発熱や倦怠感が出てくるなど、一般的な副反応のタイミングとずれている場合にも、解熱鎮痛剤を使用する前に他の原因がないか注意する必要があります」。

ワクチンの情報を正しく知り、“正しく恐れる”ために私たちができること

ワクチンの副反応の中でも『アナフィラキシー』と呼ばれる急性の重いアレルギー反応についても気になるところですが、森内先生はアナフィラキシーに関しては、接種会場に備えがあるので過剰に恐れる必要はないといいます。

「新型コロナワクチンのアナフィラキシーの発現率は、インフルエンザのワクチンが100万分の1であることに比べると、モデルナ社のワクチンで100万人に2.5人、ファイザー社のワクチンは統計によっても違いますが、100万人に4~5人程度は出るといわれています。インフルエンザワクチンと比べるとわずかながら確率は増えますが、非常にまれな発現率であることに変わりはありません。接種会場には必ず、アナフィラキシーの特効薬であるアドレナリンを注射器に入れた状態で準備していますので、恐れる必要はないでしょう」と森内先生。

アナフィラキシーは90%前後が接種後30分以内に起こります。そのため、接種後には少なくとも15分間、過去に重いアレルギー症状を起こしたことのある人は30分間、その場で経過を観察することになっており、この間に万が一アナフィラキシーが起こっても、その場ですぐに医療従事者が対応できるのだといいます。

最後に、私たちがスムーズに新型コロナワクチン接種を行うために、事前に準備しておいたほうがよいことはあるのでしょうか。

「過去にアナフィラキシーを起こしたことがある人は、その原因をしっかり確認しておいてください。新型コロナワクチンのアナフィラキシーの原因と疑われている『ポリエチレングリコール』という成分に対するアレルギーをもっている人は、接種が難しい場合もあります。ポリエチレングリコールは様々な医薬品の他、化粧品などにも含まれていることがあります。

また、予診票では『血液をサラサラにする薬』をのんでいるかどうかを確認します。新型コロナワクチンは筋肉にまで深く注射針が入りますので、出血しやすい状態にある人は接種後に変わりがないかどうかを確かめるためです。また、『β(ベータ)遮断薬』という降圧薬(高血圧に対する薬)を使っている人は、万が一アナフィラキシーが起こった場合に、特効薬であるアドレナリンの効果が少し弱まる可能性がありますが、これもあらかじめ分かっていれば、その分だけアドレナリンを多めに使うことで対処できます」。

このように接種前に、使っている薬をかかりつけ医に確認したり、『お薬手帳』を接種会場に持参して、医師や薬剤師の方に確認してもらったりすることが大切だと森内先生は話します。また、基礎疾患(持病)のある人こそ新型コロナワクチンの接種は必要ですが、持病によって体調が思わしくない場合は予約の時期をずらすなど、体調が安定した状態で受けてほしいといいます。

「100万人に2.5~5人という、ごくまれな確率でアナフィラキシーが起きることはあっても、それに対する備えは、接種会場にしっかりと準備されています。新型コロナワクチンを受けるリスクよりもメリットの方が大きいということを、ぜひ知っておいていただきたいです」と森内先生。

私たちも、新型コロナワクチンの情報を正しく知ることで“正しく恐れる”リテラシーを身につけて、ワクチン接種に臨みましょう。発熱などの副反応が出てしまった時のため、解熱鎮痛剤を備えておくことも一つの手かもしれませんね。

監修プロフィール
森内 浩幸先生
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学分野 教授 もりうち・ひろゆき森内 浩幸先生

医学博士。1984年、長崎大学医学部卒業後、国立仙台病院臨床研究部レジデント、NIAID 研究員および NIH Clinical Center 臨床スタッフ、長崎大学医学部小児科学教室 主任教授(長崎大学病院小児科長併任)を経て現職。1996年、Young Investigator Award (American Society for Microbiology)受賞。2010年、厚生労働科学特別研究事業 「ヒトT細胞白血病ウイルス-1型母子感染予防のための保健指導の標準化に関する研究」研究代表者、厚生労働省HTLV-1対策連絡協議会委員、先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」顧問等を務める。日本小児科学会(理事)、日本ウイルス学会(理事)、日本臨床ウイルス学会(幹事)、日本ワクチン学会(理事)、日本小児感染症学会(理事)他。

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