雨の日の不調の原因が分かった! 天気痛はもう怖くない

Let's Try! あなたは気圧の変化で不調が起きやすい体質?セルフチェック!

まずは、気圧の変化で不調になりやすい体質かどうかセルフチェックをしてみましょう。次の質問に2つ以上あてはまる人は、気圧の変化で不調が現れやすい傾向があります。特に1~2に当てはまるならハイリスクです。

気圧の変化で頭痛やめまいが起こる「天気痛」のメカニズムとは?

 「天気痛」とは、台風が近づくと頭痛がする、雨が降ると古傷が傷むなど、その人がもともともっていた症状が天気に影響されて現れたり悪化したりするものをいいます。天気痛の症状は、頭痛、神経痛の悪化、めまい、肩こり、首痛、腰痛、眠気、耳の症状、気分の落ち込み、うつ、不安症など多岐にわたります。
これまでの研究で、気象要素の中でも、特に気圧の変化が天気痛の大きな引き金になっていることが分かってきました。この気圧を感知するのが、体の平衡感覚をつかさどる内耳です。天気痛は気圧の変化に内耳のセンサーが過剰反応し、その情報が脳に伝わって自律神経のバランスが乱れ、様々な不調を引き起こしていると考えられます。そのため内耳が敏感な人は気圧の変化によるストレスが大きく、不調が起こりやすいのです。
寒暖差が大きく気圧の変化も激しい春先、低気圧が繰り返し前線に沿って動き、湿気も多い梅雨時、さらに夏から秋にかけての台風シーズンは特に天気痛が起こりやすいので注意が必要です。片頭痛の人には気圧変化の激しい季節になると不安になり、眠れなくなったり、痛みがひどくなったりする人が多くいます。こうした悪循環に陥らないためにも、天気と体の関係に気づき、適切に対処することが大事です。

今、地球温暖化で天気痛が増えている!?

世界的な気象変動で、これまではなかったような爆弾低気圧(急激に気圧が低下する現象)やゲリラ豪雨が増えています。天気痛のある人は5hPa(=ヘクトパスカル)程度の気圧の変化でも敏感に感じ取り、痛みが出ますが、台風が通過するとなれば30hPa程度の変化が生じてしまいます。これから先、地球温暖化などの影響で異常気象はますます増加し、それに伴って天気痛の患者数も増える可能性があります。

女性のほうが天気の影響を受けやすい!更年期世代は特に注意。

天気痛を訴えて受診する患者さんの3分の2は女性で、一番多いのが40代です。その理由の1つとして、女性のほうが男性に比べ自然への感受性が高く、天気の影響を受けやすいことが考えられます。
また、現代女性を取り巻く社会環境も影響しています。昔と違って自然の変化に即して活動・休息することができなくなり、ストレスがかかっていること、さらに、女性ホルモンの影響で片頭痛もちが多いことも女性に天気痛が多い理由といえます。
さらに、更年期の不定愁訴(しゅうそ)には、頭痛、肩こり、うつなど天気の影響を受けやすいものが多く、更年期世代の女性にも天気痛の訴えが高率で見られます。

自分の天気痛パターンが分かる! 「痛み日記」をつけてみよう

天気痛には予兆が見られることが多く、よくある症状としては、めまい、吐き気、あくび、耳鳴りなどが挙げられます。しかし、台風が来る直前に体調に変化が起こる人、台風の通過中に起こる人など、不調の起こるタイミングは人それぞれです。こうした天気と体調の関係、不調が起きる自分なりのパターンを把握することが、天気痛脱出の第一歩となります。
体と天気の関係を知るには、1カ月間「痛み日記」をつけるとよいでしょう。「痛み日記」は、本当に天気に影響されているのか、いつどんなタイミングで、どんな症状が起きるのかなどを知ることができ、それによって対処法も見えてきます。
日記に必要なのは①天気、②気圧、③体調の変化、④痛みの強さ、⑤運動、⑥睡眠の6項目。スマホを持っている人は「ウェザーニュースの天気痛予報」というアプリを使うのがおすすめです。

天気痛の予防には、耳の温めやマッサージがおすすめ

 耳の周りの血行が悪くなると、内耳がむくんで過敏になり、天気痛を起こしやすくなります。そのため天気痛が起こりそうな時は内耳の血行をよくすると効果的です。耳にホットタオルや温かいペットボトルを当てたり、耳の後ろにあるツボ「完骨(かんこつ)」のあたりを温めたりするとよいでしょう。天気痛が起きやすい人は日頃からなるべく耳を冷やさないようにし、冬場はイヤーマフや帽子などで防寒対策を心がけてください。
 「くるくる耳マッサージ」もおすすめです。耳と耳の周りをもみほぐすことで血行がよくなり、内耳の状態の改善に効果があります。マッサージは症状が出る前に行うのがポイント。予防的ケアにも役立つので、朝・昼・晩1回ずつ、まずは2週間~1カ月続けてみましょう。
また、予兆を感じたタイミングで抗めまい薬や酔い止め薬をのむのも1つの方法です。これらの薬には内耳の状態を整え、過剰な反応を抑える作用があります。「痛み日記」をつけていれば、こうした事前の対処が可能となります。
 天気痛の症状が現れてからの対処は、無理をせずに体を休めることが基本です。すでに頭痛などのつらい痛みがある時は、我慢せずに鎮痛剤を服用するようにしましょう。頭痛薬(鎮痛剤)は、痛みを感じたら早めにのむのがポイントです。ひどくなってつらい思いをする前に、頭痛薬に表示されている用法・用量を守り、正しく使用しましょう。なお、薬の服用が月10回を超える人は、使用を中止して頭痛の専門医に相談することをおすすめします。

天気痛の原因は天気だけじゃない!?  乗り物や高層マンションが原因になることも

気圧の変化は新幹線や飛行機での移動時にも起きています。また、エレベーターの昇降時にも気圧の変化が生じるため、天気痛の症状が現れる人も。高層階に引っ越したら体調が悪くなったという人は、天気痛を疑ってみるとよいかもしれません。乗り物で不調が起きやすい人は、乗る前に耳マッサージをしたり、市販の酔い止め薬をのんだりして気圧の変化に備えましょう。また、気圧の変化を感じにくいようにする気圧調整機能つきの耳栓をつけるのも一案です。この耳栓は片頭痛の痛みの緩和にも効果があります。

天気に左右されない体質に変わるには、規則正しくメリハリのある生活を

天気痛と共に生きていく上では、気象というストレスに負けないように自律神経を整えていくことが大切です。そのためには、日中はアクティブに、夜はリラックスするなどメリハリのある生活を心がけましょう。続けたい生活習慣は下記の5つです。
天気痛対策としてもう1つ大切なのは、もともともっている病気や不調を治すことです。天気から受ける影響を減らし、不安要素が減って症状が落ち着けば、治療もしやすくなります。ぜひ天気痛を自分の体を見直すきっかけにしてください。

(1)朝起きたら太陽の光を浴びる
朝に強い光を浴びることで刺激が脳に伝わり、体内時計がリセットされ、自律神経が整う。
(2)朝食を食べる
寝ている間に下がった体温を上げ、自律神経を副交感神経から交感神経に切り替える役割がある。
(3)運動を取り入れる
日中はなるべく活動的に過ごす。ウォーキングや軽めのランニングなど長くできる有酸素運動が効果的。
(4)ぬるめの湯で入浴
夜に39~40℃の湯にゆったり浸かると体がリラックスし、副交感神経優位に。血行もよくなり、眠りにも好影響。
(5)質のよい睡眠
休日の「寝だめ」はリズムが乱れる元に。起床・就寝の時間を一定にし、睡眠のリズムを整えることが第一。
監修プロフィール
佐藤 純先生
中部大学大学院 教授・愛知医科大学 客員教授 さとう・じゅん佐藤 純先生

1958年福岡県生まれ。医学博士。東海大学医学部卒業後、名古屋大学大学院医学系研究科で疼痛生理学、環境生理学を学ぶ。名古屋大学教授等を経て、2005年愛知医科大学・学際的痛みセンターに日本で唯一の「天気痛外来」を開設。2018年からは東京都の竹橋クリニックでも専門外来を担当。著書に『天気痛』(光文社新書)、『「雨ダルさん」の本』(文響社)など。

今すぐ確認!ドクターズチェックはコチラ

もっと知りたい!動画はコチラ