予防・改善で生活の質を向上  口内炎

口内炎は、ウイルスや菌の感染によるものや外的刺激によるものなど様々な種類があり、痛みや不快感から、QOL(生活の質)が低下します。「舌がん」など、口内炎によく似た別の病気もあるため、状況に応じて病院を受診することも必要です。また、食生活の乱れや睡眠不足、ストレスや疲労が蓄積などで免疫力が低下している時に起こりやすいため、生活習慣を見直し、予防・改善を図りましょう。
※この記事は2014年5月のものです。


<目次>
1.口内炎は免疫力低下のサインかも!?
2.口内炎は、種類によって原因が異なります
3.「舌がん」など、口内炎によく似た病気に注意!見分けるポイントは?
4.口内炎に特に注意が必要なのはどんな人?
5.口内炎の予防・改善は、生活習慣の改善から。免疫力を高めましょう
6.食事は、口内炎に有効な栄養素「ビタミン」を中心に
7.口内炎になってしまったら?知っておきたい薬の選び方
8.副腎皮質ホルモン剤(ステロイド性抗炎症薬)は用法・容量を守りましょう
9.口内炎の受診の目安は?
10.口内炎は、口腔外科や歯科などを受診しましょう

口内炎は免疫力低下のサインかも!?

口内炎は、口内の粘膜に起こる炎症の総称。頬や唇の裏の粘膜、のど、舌など、口内のあらゆる粘膜にでき、痛みや不快感からQOL(生活の質)を低下させます。
ストレスや疲れがたまって抵抗力が低下した時などに起こりやすいので、口内炎ができた場合は生活習慣を見直すことが必要です。まずは下の表で当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

口内炎は、種類によって原因が異なります

口内炎は、外的刺激、ウイルスや菌の感染など、原因によって種類が異なります。症状としては、いずれも初期から痛みを伴います。主なものは次の通りです。

●アフタ性口内炎
最も一般的な口内炎で、再発を繰り返す人も多い。明確な原因は不明だが、疲労やストレスの蓄積で免疫が低下した時や過剰に働いた時などにできやすい。免疫の低下は粘膜の抵抗力を下げ、細菌が繁殖しやすくなり、炎症性の潰瘍(アフタ)が現れる。口内全体のあらゆる部位にできる。


●外傷性口内炎
口内をかむ、やけどをする、入れ歯の不具合などの外的刺激が原因。粘膜に傷がつくと、そこに細菌が繁殖して炎症が起こり、カタル、びらん、潰瘍のいずれかが現れる。舌の縁にできやすい。


●ヘルペス性口内炎
単純ヘルペスウイルスの感染が原因。成人の7割が感染しているといわれるが、発症するのはその1割。免疫力が低下している時に発症しやすい。38度を超える高熱が数日続いた後、主に舌や唇の裏の粘膜に水疱が現れる。


●カンジダ性口内炎
口内に常に存在している常在菌、カンジダ菌の増殖が原因。白い苔状の膜が現れる。唾液には抗菌作用があるため、唾液の分泌量が低下すると菌が繁殖しやすくなる。口内全体のあらゆる部位にできる。

「舌がん」など、口内炎によく似た病気に注意!見分けるポイントは?

口内炎の多くは数日~10日ほどで自然に治りますが、口内炎と間違えやすい別の深刻な病気もあり、放置したために治療が遅れてしまうこともあります。間違えやすいのは、主に次の病気です。

●舌がん
口腔がんの半数以上を占めるがん。患部の色調は赤と白が混在しており、アフタ性口内炎と似ている。主に舌の縁に現れる。初期は痛みがないため見過ごされやすい。早期に治療すれば、90%が治るといわれる。

●白板症
がん化する可能性が高い、「前がん病変」という状態。口内の粘膜が白く変化してただれを伴うこともあり、カンジダ性口内炎に似ている。口内全体のあらゆる部位にできるが、特に舌の縁に現れた場合は舌がんに移行するリスクが高いため、注意が必要。


口内炎と異なり、舌がんや白板症は自然に治ることはなく、徐々に大きくなることもあります。また、口内炎が度々でき、粘膜の組織の損傷と修復が繰り返されると、その部位ががん化することもあります。2週間以上経っても治らない、大きくなる、再発を繰り返す、といった場合は、口腔外科などを受診し、原因を確かめましょう。

口内炎に特に注意が必要なのはどんな人?

●乳幼児
乳幼児は、口内炎ができても自分で症状を伝えることができません。痛みで食べ物や水分を口に入れることを嫌がり、脱水症状を招くことがあります。食欲がなかったり、ぐずったりする場合は、口の中をチェックしてあげましょう。発熱を伴う場合は、手足口病やヘルパンギーナなどの、ウイルスによる感染症も疑われるため、小児科の受診をおすすめします。


●高齢者
高齢者の場合は、入れ歯の不具合や口内の不衛生などが原因で口内炎を発症することがあります。うがいや歯磨き、入れ歯の洗浄を徹底し、口内を清潔に保つことが予防につながります。また、加齢により唾液の量が減るため、唾液の分泌を促して、口内の潤いを保つことも大切です。

●中高年・更年期に多い「ドライマウス」の人も要注意
唾液には、ウイルスや菌の付着を防ぎ、外的刺激から口内の粘膜を守る働きがあります。唾液が減るドライマウス患者には、カンジダ性口内炎を発症している人が少なくありません。唾液の分泌は性ホルモンの影響を受けるため、ドライマウス患者は、中高年層、主に女性ホルモンが減少する更年期の女性に多く見られます。あめをなめる、ガムをかむなどして唾液の分泌を促しましょう。

口内炎の予防・改善は、生活習慣の改善から。免疫力を高めましょう

口内炎の多くは、食生活の乱れや睡眠不足、疲労やストレスの蓄積によって、免疫力が低下している時にできます。口内炎ができた時は体の不調のサインと捉え、次のようなことを参考に生活習慣を見直しましょう。

●疲労をためない
睡眠を十分にとり、疲労を蓄積させない。

●ストレスをためない
気分転換の方法を身につけ、ストレスを発散する。

●口内を清潔に保つ
日常的に歯磨きやうがいをしっかり行う。歯を磨く際は、力を入れ過ぎて歯肉を傷つけないよう注意。

●食生活を見直す
栄養バランスのよい食生活を心がける。

●唾液分泌を促す
口の中が渇いていると感じたら、ガムをかむなどして唾液の分泌を促す。

●口内を傷つけない
免疫力が低下している時に口内を傷つけると、細菌が繁殖して炎症が起こりやすくなる。特に入れ歯や矯正器具が合わない場合は、歯科医に相談する。

その他、肉や魚を食べる時は骨を外す、口内の粘膜をかまないようゆっくり咀嚼するなどの工夫をする。

食事は、口内炎に有効な栄養素「ビタミン」を中心に

食生活の乱れが口内炎を引き起こすこともあります。バランスのとれた食事を心がけましょう。特に、ビタミンB群が口内炎の予防や改善に効果があるといわれています。また、粘膜の潤いを保つビタミンA、ウイルスや菌に対する免疫力を向上させるビタミンCも積極的に摂るようにしましょう。

口内炎になってしまったら?知っておきたい薬の選び方

口内炎を早く治すには、市販薬を用いることも有効です。患部に直接使用するタイプの市販薬には、パッチ(貼り薬)、軟膏、スプレーの3種類があります。部位や状態に合わせて、使いやすい物を選びましょう。パッチや軟膏は、使用する前に口内の水分をティッシュなどで軽く取り除くと、より付着力が高まります。

●パッチ
患部に貼る。食べ物などの刺激による痛みを防ぐ。凹凸の少ない部分に1~2個できた場合に使うとよい。医療用医薬品に使われる、効きめの高いステロイド成分を配合したタイプも市販されている。

●軟膏
患部に塗布する。凹凸のある部位にできた場合や複数できた場合、また面積が大きい場合など、パッチの貼れない時に使うとよい。塗布すると口内の水分を引き寄せてゼリー状になる付着性の高い軟膏や、パッチ同様、ステロイド成分を配合したタイプもある。

●スプレー
患部に噴射する。指や綿棒が届きにくい部位にできた場合に使うとよい。

その他、次のような薬も有効です。

●トローチ
なめることで炎症を鎮める成分が溶け出し、口内全体の粘膜に作用する。消炎成分や殺菌成分の入っているタイプがおすすめ。

●うがい薬・洗口液
うがいで口の中の菌や汚れを洗い流し、口内を清潔に保つ。殺菌効果のあるタイプを選ぶ。日常的に使用することで、予防につながる。

●内服薬
ビタミンB群を含有するタイプが多い。タンパク質の合成を促し、体の中から口内炎を予防、改善する。

副腎皮質ホルモン剤(ステロイド性抗炎症薬)は用法・容量を守りましょう

ウイルスや細菌感染ではない、アフタ性口内炎の症状を早く改善するには、炎症を抑える副腎皮質ホルモン剤(ステロイド性抗炎症薬)のパッチや軟膏が効果的です。最近では、病院での処方薬に使われる抗炎症成分トリアムシノロンアセトニドを配合した口内炎治療薬も市販されています。薬の説明書をよく読み、使用期間や使用量を守って上手に活用しましょう。

口内炎の受診の目安は?

口内炎の痛みで食事をするのがつらくなったり、人と会話をすることもおっくうになったりすると、気持ちが落ち込み、QOLを低下させることがあります。また、口内炎の痛みによるストレスがさらなる口内炎を引き起こし、再発を繰り返すといった悪循環に陥ることも珍しくありません。
大多数の口内炎は深刻なものではありませんが、痛みで食事や飲み物がのどを通らない、口内炎が何度も繰り返しできるという場合は、病院を受診するとよいでしょう。
また、口内炎が2週間以上経っても自然に治らない、再発を繰り返す、患部が徐々に大きくなる、市販薬を5~6日用いても改善されない、などといった場合は、別の病気が疑われます。病院を受診して原因を明らかにし、適切な治療を受けるようにしましょう。

口内炎は、口腔外科や歯科などを受診しましょう

口内炎で受診する場合、口内の粘膜疾患を専門に診る口腔外科がおすすめです。口内炎の原因を突き止めたり、別の病気と口内炎の違いを見極めたりすることを得意とし、迅速な診断が可能です。他にも、歯科や耳鼻咽喉科、皮膚科、内科でも治療が受けられる場合があるので、事前に確認の上、受診するとよいでしょう。
病院では、主に次のような治療が行われます。

●外用薬治療
最も一般的な治療方法。原因や症状に合わせて、ステロイド成分を配合したステロイド性抗炎症薬や抗菌薬を用いる。剤形には、パッチや軟膏の他、粉薬を専用のスプレーで吹きつける噴霧式カプセルもある。
●内服薬の処方
粘膜の抵抗力を高めるビタミン剤や、漢方薬が処方されることもある。また痛みが強い場合や熱を伴う場合は、ステロイド性抗炎症薬を用いる。
●レーザー治療
レーザーを照射し、患部を焼く。主にアフタ性口内炎の治療に使われる。

口内炎ができたら「免疫力」が低下しているサイン。まずは生活習慣や栄養バランスを見直しましょう。また、再発を繰り返したり、改善しない場合は別の病気が隠れていないかどうか、受診して確かめることも大切です。
監修プロフィール
中川洋一先生
鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科講師 なかがわ・よういち中川洋一先生

1980年鶴見大学歯学部卒業後、同大学口腔外科学助手、講師。同大学附属病院専門外来(現口腔機能診療科)。日本口腔外科学会認定口腔外科専門医・指導医。著書『チェアサイド・介護で役立つ口腔粘膜疾患アトラス』(クインテッセンス出版)など。

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