若々しくハリのある声を手に入れる!声のアンチエイジング

声は見た目と同じくらいその人の印象を左右する大きな要素です。年齢と共に落ち着きのある声になるのは自然なことですが、かすれ声や弱々しい声といった「老け声」になるのは避けたいもの。生き生きとしたハリのある声を保つケアを実践しましょう。

<目次>
Q1.声が昔より低くなってきたのは、やはり年齢のため?
Q2.声の老化はどうやってチェックできる?
Q3.加齢以外に「老け声」になる原因はある?
Q4.声が老化すると、健康にも影響があるの?
Q5.声にハリを出すトレーニング法を教えて。
Q6.日常生活における声のアンチエイジング対策を教えて!

Q1 声が昔より低くなってきたのは、やはり年齢のため?

A1 女性の場合、年齢が影響しているといえるでしょう。

私たちが声を出す時は、喉頭(こうとう)にある声帯を使っています。声帯は、弦楽器の「弦」のようなものです。加齢によって、声帯には次の3つの変化が起こります。(下図・声帯の構造も参照)。

①声帯表面の潤いの低下
②声帯筋(ボディ)の萎縮
③声帯粘膜層(カバー)の弾性の低下

肌は加齢と共に乾燥してハリを失いますが、同じ変化が声帯にも起こります。ピチピチしていた声帯がシワシワになっていくのをイメージするとよいでしょう。そのため、程度の差はあれ誰でも声が低くなったり、ハリがなくなったりするのです。
女性は更年期以降、声の老化が顕著になります。女性ホルモンの分泌量が減ると声帯がむくんで太くなり、音域が下がります。男性の場合はホルモンの影響はあまりなく、加齢と共に声帯が萎縮して硬くなり、少し高く、力のない声になる傾向があります。
声は重要なコミュニケーション手段であると同時に、その人の印象や年齢を判断する基準となるものです。実年齢より上の印象をもたれてしまう「老け声」にならないためにも、声帯のトレーニングやセルフケアを実践していきましょう。

Q2 声の老化はどうやってチェックできる?

A2 声や発声の変化で分かる他、力が入りにくくなることも。

声が老化すると下記のチェックリストのように、声や発声に影響が現れる他、力が入りにくくなる場合もあります。私たちが踏ん張ったり、全身に力を入れたりする時は、声帯筋がギュッと締まり、腹筋など全身の筋肉も連動します。そのため、声帯筋が衰えてしっかり閉じなくなると、声帯から空気が漏れて全身に力が入りにくくなってしまうのです。瓶の蓋が開けにくくなったり、トイレでいきめなくなったりするのも声帯の衰えが関係している場合があります。

Q3 加齢以外に「老け声」になる原因はある?

A3 普段の姿勢や食生活なども大きく関係します。

次のような人は老け声になりやすいので注意が必要です。
●声をあまり使わない人
仕事やプライベートで人と接する機会が少ないと、声帯筋が衰え声の老化が進みやすくなります。
●姿勢が悪い人
安定した声を出すためには呼吸器や腹筋を含めた全身が連動して働くことが必要です。猫背の人やうつむいて話す人は肺から上がってくる空気が遮られたりし、声の響きに影響が出てしまいます。
●胃酸が出やすい食生活を送っている人
糖質・脂質の多い食事、カフェインや炭酸飲料、アルコールを摂り過ぎていると胃酸が食道に逆流し、「のど焼け」を起こして声帯を傷めてしまいます。喫煙も、声帯をむくませてしまうのでNGです。
●ストレス過多な人
「声は心の鏡」といわれ、心身のストレス強いと声にハリがなくなってしまいます。うつの人や病気で受診するような人は、ほぼ例外なく声が弱々しいものです。また、声帯は過労や寝不足、体調不良によっても傷つきやすく、回復も遅くなる傾向があります。

column:スマホ依存で老け声に!?

最近はメールやSNSで情報をやり取りすることが増えているため、声を使ったコミュニケーションが減少しています。このため、若い人を中心に声帯筋の衰えが見られます。まれなケースですが、中には「音声衰弱症」という病名がつくくらい声がかすれて出なくなってしまう人も。これは20代なのに70代くらいの筋力低下が声帯に起きている状態といえます。

Q4 声が老化すると、健康にも影響があるの?

A4 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や認知症などのリスクが高まります。

声帯は気管の入り口にあるため、しっかり閉じられずにすき間ができると、異物が気管に入る危険が生じます。唾液や食べ物、飲み物が気管を通じて肺に入ってしまうと、細菌が繁殖し、「誤嚥性肺炎」を起こすことがあります。高齢者は特に注意が必要です。
また、認知症のリスクを高めることも考えられます。声が出にくいと話さなくなり、さらに声が出にくくなるという悪循環を招き、コミュニケーションが減ることで、認知機能が低下しやすくなるためです。将来のこうしたリスクを避けるためにも声のケアが大切です。

Q5 声にハリを出すトレーニング法を教えて。

A5 「息こらえエクササイズ」で声帯筋を鍛えましょう。

声帯をしっかり閉じられるようにするには、声帯筋と声帯周囲の首の筋肉を鍛えましょう。
おすすめは「息こらえエクササイズ」。これは、体に力を入れる時は声帯がギュッと締まるという体の仕組みに基づいて考案したものです。声を出さないので場所を選ばず、いつでも手軽にできます。まずは1カ月続けてみましょう。ただし、自分の体力に合わせて無理のない範囲で行うようにしてください。
効果には個人差がありますが、このエクササイズを行うと息漏れがなくなり、かすれ声が改善、声帯がよく振動するハリのある声が出せるようになります。さらに、Q4で述べた声の老化による誤嚥などの予防にもなり、副次的効果としてあごのたるみの改善も期待できます。

Q6 日常生活における声のアンチエイジング対策を教えて!

A6 一番大切なのは、声を適度に正しく使うことです。

Q3で挙げたような声の老化を進めてしまう生活習慣を改善すると共に、次のようなことを心がけるとよいでしょう。
●話す、歌う
アスリートにコンスタントなトレーニングが必要なように、声帯も適度に使うことで鍛えられます。そのためには正しい発声で声を使い続けることが何よりも大事です。積極的に人と話したり、歌を歌ったりしましょう。カラオケもおすすめです。人と会話する機会が少ない人は、本や新聞の音読を習慣にするとよいでしょう。
●声帯を酷使しない
自分の能力を超えた声の使い方をしないこと。長時間のおしゃべり、大声を出したり叫んだりすること、無理な音域で話すこと、咳払いなどは声帯に負担をかけます。特にかぜをひいてのどが痛い時には使い過ぎないようにしましょう。講演やプレゼンテーションなどで話す時は、途中で適度な休みを入れるなどの工夫を。
●笑顔で話す
声を出す時は表情筋も使うため、声と表情は密接につながっています。無表情で話せば声も無表情になり、笑顔で話せば声にもハリが出るものです。心身が生き生きと健康であることが大切です。
●のどの乾燥を防ぐ
声帯の粘膜の弾性を保つためには潤いが欠かせません。水やお茶などで水分補給をこまめに行い、秋冬の乾燥シーズンはマスクや加湿器を活用し、のどの乾燥を防ぎましょう。乾燥によるのどのあれや、のどの痛みには、のど飴の活用もおすすめです。

column:英会話で声帯エクササイズ!

外国人の声は大きいと感じることはありませんか?
英語などの場合、空気を強く吐いて発音する必要があるため、お腹から声を出す腹式呼吸のような発声方法が自然にできているといわれます。一方、日本語は口先だけでも発声できるため、声が小さい人や声が通らない人が多いそうです。声帯のエクササイズとして、英会話を始めるのも一案です。
監修プロフィール
本橋玲先生
東京医科大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師/新宿ボイスクリニック医師 もとはし・れい本橋玲先生

ボイスクリニックなど声に特化した外来で、のどの病気や声にまつわる疾患、悩みについての治療、指導を行う。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・耳鼻咽喉科専門研修指導医、日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医、日本気管食道科学会認定気管食道科専門医。共著に『誤嚥性肺炎を自力で撃退するNo.1療法』(マキノ出版)。

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