悩んでいる女性は意外と多いです。おなかのハリを解決!

おなかが張ると、人前でおならが出そうになったり、痛みなどの不快感を伴ったりして、QOL(生活の質)を著しく下げてしまいます。おなかに関する最新の知見からハリの原因を知り、一人ひとりに合ったセルフケアを実践していきましょう。

<目次>
Q1.なぜ、おなかが張るの?
Q2.おなかのハリの原因「呑気症(どんきしょう)」ってどんな症状?
Q3.なぜ、腸内環境が悪いとガスが増えるの?
Q4.腸の形も影響するって本当?
Q5.食物繊維の摂り過ぎがよくないって本当?
Q6.おなかのハリはどんな運動で予防・解消できる?

Q1 なぜ、おなかが張るの?

A1 主に空気の呑み込みなどによるガスだまりが原因です。

おなかのハリは医学用語では「腹部膨満感」といいます。そのほとんどは腸内にガスがたまることで起こり、次の2つのタイプがあります。
1つは口から大量の空気を呑み込むことで起こるもので、無意識のうちに空気をたくさん呑み込んでしまう状態を「呑気症(どんきしょう)」と呼びます(Q2参照)。つばを頻繁に呑み込んだり、早食いしたり、よくかまないで食べたりすることで呑み込む空気が多くなり、ガスだまりにつながってしまうのです。
もう1つは、腸内環境や腸の働きに問題があるタイプです(Q3参照)。便秘や食物繊維の摂り過ぎ、消化不良などは腸内の異常発酵を招いてガスを発生させる原因となります。女性の場合はホルモンの変動にも影響され、月経前は腸の働きが低下し、おなかのハリが現れやすくなります。
ガス以外でも、便秘で腸内に便や水分がたまってハリが起こっているケースもあります。実際は、これらに腸の形、姿勢、運動習慣といった要因が絡み合って「ハリ」感が生じます。また、消化器の病気や子宮筋腫などの婦人科系の病気でおなかが張ることもあるので、気になる症状が続く場合は医師の診断を受けるようにしましょう。

column:その症状、本当に便秘?

一般に「毎日便通がなければ便秘」と思われがちですが、排便のリズムには個人差があり、体質的に3日に1度、1週間に1度しか排便がない人もいます。2017年に作成された慢性便秘症の診療ガイドラインでは、「便が出にくい、便が硬い、残便感がある、排便が週3回未満」など6項目のうち2項目以上を満たすものを便秘症と定義しています。つまり、快適に排便できていれば、回数や量は問題とされません。便秘を気にするあまり、デリケートになっておなかのハリを強く感じてしまうケースもあるので、意識をちょっと変えてみましょう。

Q2 おなかのハリの原因「呑気症(どんきしょう)」ってどんな症状?

A2 ストレスや緊張感の強い人に多い症状です。

呑気症は空気嚥下症(くうきえんげしょう)ともいい、おなかのハリで困っている人に大変多く見られます。ストレスとのかかわりが深く、まじめな人や考え過ぎる人に多い傾向があります。ハリの他に、おならやげっぷが増え、仕事や学業に支障を来すなど、本人にとって深刻な悩みとなっているケースも少なくありません。
人は緊張すると唾液が出て、つばを呑み込むことが多くなり、この時一緒に空気も呑み込んでいます。つばを1回呑み込むと15㎖の空気を一緒に呑み込むといわれ、100回余計に呑み込めば、1.5ℓの空気がおなかに入ることになります。
改善のためには、ハリの原因を認識した上で、おなかが張る不安からできるだけ意識を離し、気にしないようにすることが一番です。難しい人には、心身をリラックスさせる自律訓練法や認知行動療法などの心理的アプローチが助けとなります。

Q3 なぜ、腸内環境が悪いとガスが増えるの?

A3 大腸の悪玉菌が異常発酵を起こしてしまうから。

人の腸内にはたくさんの腸内細菌がすみつき、腸内フローラ【細菌叢(そう)】を形成しています。腸内細菌の中には健康によい影響を与える菌(善玉菌)もあれば、有害な菌(悪玉菌)もあり、それらのバランスを「腸内環境」と呼んでいます。よい腸内環境とは、腸内細菌のうち善玉菌が優勢になっている状態のことを指し、腸内環境の乱れとは、善玉菌が減って、悪玉菌が増えている状態をいいます。
腸内環境がよいと、小腸で消化されなかった食べカスは大腸内でよい発酵を起こしますが、腸内環境が悪いと異常発酵を起こし、腸内にガスを発生させてしまいます。また、人によっては消化しにくい食物繊維を摂り過ぎたり、消化酵素が少なくて消化が十分にできなかったりすることも、ガスを増やす原因となります。悪玉菌がタンパク質や脂肪を分解してアンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、インドールなどの有害物質ができると、おならのにおいが強くなります。
善玉菌と悪玉菌のバランスは食事や加齢などいろいろな要因で変化しますが、ストレスも大きく影響し、腸内環境を乱す原因となるので注意が必要です。

column:炭酸飲料はNG?

炭酸ガスは一時的に胃腸を膨らませますが、空気と違ってすぐに吸収されるため、適量であればおなかのハリの原因とはなりません。

Q4 腸の形も影響するって本当?

A4 日本人特有の腸の形がぽっこりおなかの原因にも。

長年たくさんの患者さんの腸を診てきた結果、日本人のおよそ8割が、大腸がねじれている「ねじれ腸」、大腸が落ち込んでいる「落下腸」のいずれかに当てはまることが分かりました。
ねじれ腸や落下腸の人は便が引っかかってガスがたまりやすく、下腹が出た「ぽっこりおなか」になりがちです。落下腸の場合は、便がなくても腸自体が骨盤内に落ち込んでハリの原因となります。女性は筋肉が少なく骨盤が左右に広いため、腸が動いてねじれたり落下したりしやすいのです。腸の形は遺伝なのでそれ自体を治すことは難しいのですが、運動やマッサージ(Q6参照)を続けることでねじれ部分が一時的にほぐれたり、大腸全体が上がったりして、便が通りやすくなります。

Q5 食物繊維の摂り過ぎがよくないって本当?

A5 おなかのハリに悩む人には逆効果になることも。

便秘を予防・改善し、腸内環境を整えるのに有効として知られる食物繊維ですが、便や水分がたまっておなかのハリがある人には逆効果になってしまいます。このタイプの人は、食物繊維のうち特に便のかさを増やす「不溶性食物繊維」を摂り過ぎると、腸内の便の量がどんどん増え、おなかがさらに張って苦しくなったり、腹痛や胸やけが生じたりしてしまいます。
一方、コロコロ便の人には、食物繊維が適しています。特に、水分を引き込んで便を軟らかくする働きがある「水溶性食物繊維」を積極的に摂るとよいでしょう。いずれのタイプも、食物繊維は不溶性と水溶性を合わせて1日20グラムを目安に、バランスよく摂るようにしましょう。
腸内環境を整えるには、善玉菌のビフィズス菌のエサになるオリゴ糖の摂取もおすすめです。

Q6 おなかのハリはどんな運動で予防・解消できる?

A6 「ひねり」のある運動が効果的です。

運動はどのタイプのハリにも有効です。特におすすめなのは、腰回りに「ひねり」が加わる運動で、ラジオ体操、テニス、ゴルフ、ストレッチ、ピラティス、ヨガなどがこれに当たります。腰回りのひねりという意味では、フラダンスやベリーダンスもよいでしょう。
ジョギングやウォーキングは心肺機能の向上には有効ですが、おなかのハリの解消効果はあまり期待できません。今まで運動習慣のなかった人は、全身をバランスよく動かす「ラジオ体操第一」からぜひ取り組んでみてください。
運動で効果がない場合は、おなかのマッサージを加えてみましょう。特に「ぽっこりおなか」の人には、腸全体を上に持ち上げるマッサージが効果的です。

column:日中におなかのハリが気になったら

おなかが張ってつらい時には、市販薬を使用するのも1つの方法。成分に「消泡剤」「生薬」が含まれている整腸薬であれば、腸内で発生した細かいガスの気泡をつぶし、ガスによるおなかのハリを改善します。水なしでのめるタイプなら、外出時にも便利です。
監修プロフィール
水上 健先生
国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長 みずかみ・たけし水上 健先生

1965年福岡県生まれ。90年慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。横浜市立市民病院内視鏡センター長などを経て、2011年より現職。慶應義塾大学非常勤講師(便秘外来担当)。専門は大腸内視鏡検査・治療、過敏性腸症候群(IBS)・便秘の診断・治療。開発した無麻酔大腸内視鏡挿入法「浸水法」は国内外で広く導入されている。著書に『慢性便秘症を治す本』(法研)、『女はつまる、男はくだるおなかの調子は3分でよくなる!』(あさ出版)など。

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