見た目も若返る!?血圧コントロールで血管力を高める!

年齢と共に血管の老化が進むと、血圧は上がりやすくなります。高めの血圧を放置すると血管老化に拍車をかけ動脈硬化を招く原因に。40歳を過ぎたら血圧をコントロールし〝血管力〞を高めるセルフケアを始めましょう。

<目次>
Q1.40代になりだんだん血圧が高めに……。
Q2.血圧がどのくらいになったら病院に行くべき?
Q3.高血圧は美容にも影響するの?
Q4.高血圧と診断されたら、一生薬をのみ続けないといけないの?
Q5.家族もいるし、減塩料理を続ける自信がありません……。
Q6.高血圧を予防するにはどんな運動をすればいいの?

Q1 40代になりだんだん血圧が高めに……。

A1 女性ホルモンの減少が関係しています。

女性ホルモンの1つであるエストロゲンは肌に弾力を与えるなどの他、血圧を正常に保つ働きもあります。そのため、女性ホルモンがしっかり分泌(ぶんぴつ)されている年代では高血圧のリスクは比較的低いのですが、分泌が低下する更年期は血管のしなやかさが失われやすく、高血圧のリスクが高まります。高血圧予備群を含めると女性の場合、40代では4人に1人、50代では2人に1人が高血圧と推計されており、更年期以降の女性の高血圧は決して少なくありません。
その他、高血圧を招く原因には、塩分の過剰摂取や喫煙、肥満、運動不足といった生活習慣や遺伝なども関係しています。また、40〜50代は仕事や家事、親の介護など、多忙を極める時期でもあります。慢性的な睡眠不足やストレスも血圧を上げる要因になるため、注意が必要です。

column:検診で正常値でも要注意!早朝高血圧

検診では正常値なのに、自宅や職場で血圧を測ると高くなる場合を「仮面高血圧」といい、検診では見逃されてしまいます。中でも特に気をつけたいのが、朝に血圧が高くなる「早朝高血圧」。検診で問題がなくても、起床後急激に血圧が上昇する“モーニングサージ”により心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中を引き起こす場合があります。そのため、朝に家で血圧を測る習慣をつけ、検診の際にその数値を伝えることが大切です。

Q2 血圧がどのくらいになったら病院に行くべき?

A2 最高血圧135㎜Hg、最低血圧85㎜Hg以上が目安です。

高血圧は〝サイレントキラー〞と呼ばれ、自覚症状がないまま進行しやすい病気です。女性は男性に比べて健康診断の受診率が低く、高血圧になるまで気づかないこともしばしば。高血圧を放置してしまうと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞、認知症などの疾患につながります。
高血圧のリスクが高まる更年期は、検診を受けることに加え、日頃から家庭で血圧を測る習慣をつけましょう。

Q3 高血圧は美容にも影響するの?

A3 血管力の低下を招き肌老化につながります。

〝血管力〞とは、血管全体のしなやかさを保ち、血管内壁を滑らかにし、血液をスムーズに循環させる力のこと。血管力を低下させる要因は、加齢や高血糖など様々ですが、その1つに高血圧が挙げられます。
ホースに強い水圧がかかると劣化しやすいのと同様に、常に血圧が高い状態が続くと血管は傷み、しなやかさや内壁の滑らかさが失われてしまいます。
血管力が低下すると、血液はスムーズに循環しにくくなり、血液によって運ばれる栄養や酸素が肌の細胞へ行き届きにくい状態に。その結果、肌のハリの低下やくすみといった肌老化につながるのです。また、血管力の低下は、やがて動脈硬化へと進行し、重篤な疾患(Q2参照)のリスクを高めます。美しく、健康でいるためにも血圧をコントロールし、血管力を高めましょう。

column:動脈硬化はよく聞くけれど“ 静脈硬化”もあるの?

静脈も加齢などにより血管力が低下すると静脈硬化につながります。静脈の主な働きは、動脈によって全身に送り出された血液を心臓に戻し、体内の二酸化炭素や老廃物を肺や肝臓に運んで体外に排出することです。そのため、静脈の血管力が低下すると老廃物などが体外に排泄されにくくなります。そして、動脈硬化のような重篤な疾患ではありませんが、QOLの低下にもつながるうっ血やむくみを招きます。そしてもう1つ、女性に起こりやすいのが下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)です。静脈の血管力の低下と共に、血液の逆流を防いでいる弁の機能が衰え、足(下肢)に血液がたまりやすい状態に。その血液の圧力で静脈が盛り上がり、コブになった状態が静脈瘤です。症状を改善・予防するには、ふくらはぎの筋肉を動かす運動をするとよいでしょう(Q6参照)。

Q4 高血圧と診断されたら、一生薬をのみ続けないといけないの?

A4 生活習慣の改善で、服薬をやめることもできます。

早い段階で血圧の異常に気づき、生活習慣を見直せば血圧の改善が期待できます。薬物療法が必要と診断された場合は、まず薬で正常な血圧の状態を取り戻し、血管への負担を軽減します。そして、治療しながら生活習慣の改善に取り組めば、服薬量の軽減や休薬もできます。
生活習慣の改善において二大柱となるのが、食事と運動(Q5・Q6参照)です。その他、禁煙はもちろんストレスをためないこと、十分な睡眠をとることも心がけましょう。

Q5 家族もいるし、減塩料理を続ける自信がありません……。

A5 味付けを工夫し、大豆ファーストを実践するのも1つです。

味付けには、酢やスパイスなどで酸味や辛みをプラスするとよいでしょう。特におすすめしたいのが、レモンです。レモン果汁を加えると塩味を感じやすくなるため、減塩料理の味の薄さを補ってくれる他、レモンに含まれるポリフェノールによって血圧を下げる効果も期待できます。
減塩に加え、食事の最初に大豆を食べる〝大豆ファースト〞も高血圧の予防に効果的です。大豆は良質なタンパク質であり、食物繊維も豊富。タンパク質は丈夫な血管をつくる基になる大事な栄養素の1つであり、食物繊維は塩分を絡め取って体外に排泄する働きがあります。さらに、血管をしなやかにし、高血圧の予防に有効とされるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも多いのです。
また、野菜を先に食べるベジタブルファーストよりも、タンパク質を先に摂る大豆ファーストのほうが、満腹感を得られやすく、腹持ちがよいことも実験で分かりました(グラフ参照)。そのため、食べ過ぎを防ぎ、高血圧の原因となる肥満の予防にもなります。
アメリカで高血圧予防食として注目されている「DASH(ダッシュ)食」という食事があります。この食事の基本は、動物性脂肪を減らし、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維をしっかり摂ること。大豆ファーストを心がければ、このダッシュ食の基本を押さえることができるのです。

column:血管力を高める効果あり!?注目のスパイス「ヒハツ」

ヒハツは「ロングペッパー」とも呼ばれる香辛料。実の部分を乾燥させた物で、辛みと甘い香りがあります。ヒハツには“ピペリン”という成分が豊富に含まれており、継続的に摂ることで血管を丈夫にする作用があります。薄味をカバーするスパイスの1つとして活用するとよいでしょう。

Q6 高血圧を予防するにはどんな運動をすればいいの?

A6 誰でもできる〝ゾンビ体操〞がおすすめです。

ゾンビ体操とは小刻みに足踏みをしながら、肩の力を抜いて腕をブラブラさせるだけのシンプルな体操です。いつでも、どこでも、そして誰でも楽しくできるため、「運動しなければ」と気負う必要もありません。忙しい人や運動が苦手な人でも気軽に日常生活に取り入れることができます(下記参照)。
また、ゾンビ体操は、上半身と下半身を別々に行っても効果があります。例えば、座った状態で腕をブラブラさせたり、かかとの上げ下げをしたりするだけでも十分。肩こりの予防や下肢静脈瘤(Q3コラム参照)の改善・予防が期待できます。
ゾンビ体操のよいところは、それだけではありません。上半身と下半身を動かすことで全身の血流がよくなり、血管の表面を守る血管内皮細胞からはNO(一酸化窒素)と呼ばれる物質の分泌が増えます。NOは血管を拡張して血流をよくする、血管をしなやかにするなどの働きがあるため、NO量が増えると血圧は下がりやすく、血管力も高まるのです。

column:「脱ET体操」で首周りの血流を改善!

近年、首や肩のこりに悩む人が非常に多く、その原因の1つになっているのがスマートフォンです。首を前方に突き出し、傾いた姿がETにそっくり。この状態を続けていると首や肩の筋肉が緊張し血流が悪くなります。そこで、首周りのこりをほぐし、血流をよくする運動として「脱ET体操」がおすすめです。ビルの5階くらいの高さを眺めるように首を上向きにし、ボートを漕ぐように腕を引いて肩甲骨を寄せ、胸を開きます。これを10回、ゆっくり繰り返しましょう。首周りの血流がよくなると全身の血液循環もスムーズになり、血圧を下げることにもつながります。
監修プロフィール
池谷 敏郎先生
池谷医院 院長 いけたに・としろう池谷 敏郎先生

1988年東京医科大学医学部卒業後、東京医科大学病院第二内科に入局。血圧と動脈硬化について研究する。1997年医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科・循環器科。著書に『血管を強くして突然死を防ぐ!』(すばる舎)、『「血管を鍛える」と超健康になる!』(三笠書房)など多数。

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