体のゆがみ

人の体は軸となる背骨と骨盤、それらを支える筋肉によってバランスが保たれています。悪い姿勢や運動不足などによって筋肉への過剰な負担や筋力の低下が起こると体にゆがみが生じ、肩こりや腰痛、内臓の不調など、全身の健康に影響を及ぼします。体のゆがみをチェックし、姿勢を整えるストレッチやエクササイズを習慣にしてゆがみを改善しましょう。
※この記事は2013年12月のものです。

<目次>
Q1.人間はどのようにして体を支えているの?
Q2.体のゆがみの原因は?
Q3.出産後の体はゆがみやすい?
Q4.体のゆがみをチェックする方法は?
Q5.体がゆがむとどんな影響があるの?
Q6.自分でできる痛みの対処法は?
Q7.体のゆがみは自分で治せるの?

Q1 人間はどのようにして体を支えているの?

A1 背骨と骨盤が軸となって支えています

人間の体は骨格と筋肉によって重心を保ち、その軸となる背骨(脊椎)と骨盤が全身を支えています。背骨は緩やかなS字カーブを描き、上半身の重みを効率よく前後に分散させて、筋肉に負担がかからない仕組みになっています。骨盤は上半身と下半身をつないで全身を支える土台の役割と、内臓や生殖器を守る働きをしています。そのため、悪い姿勢や生活習慣により背骨と骨盤が本来の位置から傾くと、体がゆがんでこりや痛みを起こしたり、内臓の不調を招いたりし、全身の健康に影響を及ぼします。

Q2 体のゆがみの原因は?

A2 体を支える筋肉への過剰な負担など

背骨と骨盤は、頸椎のまわりにある僧帽筋や、腹部を包む腹横筋、お尻にある大殿筋などの筋肉により支えられています。そして、動作によって筋肉を緩めたり、縮めたりしながら、骨を正常な位置に戻し、体のバランスを保っています。しかし、筋肉への過剰な負担や、筋力の低下、硬直などが起こると、背骨や骨盤が傾き、体はゆがんだ状態になります。ゆがみが生じる主な原因は、次の通りです。
●悪い姿勢
猫背や反り腰、脚を組むなど。
●長時間の同じ姿勢
デスクワークや車の運転など。
●一部の筋肉を酷使する動作
バッグを片方の肩にかけ続けるような、日常動作の癖など。
●運動不足
筋肉量が減り、筋力が低下することにより、骨格を支える力が弱くなる。
●冷え
血管が収縮して血液循環が悪化し、筋肉が硬くなる。
●ストレス
自律神経のバランスが崩れて、血液循環が悪化することにより筋肉が硬くなる。

Q3 出産後の体はゆがみやすい?

A3 骨盤が傾き、ゆがみやすくなります

出産時は産道となる骨盤が最大に開きますが、産後約2カ月経つと自然に元の状態に戻ります。骨盤が開くことによって伸びる大殿筋などの筋肉は、妊娠中の筋力低下によって元の状態に戻りにくくなります。その結果、骨盤が傾き、体にゆがみが起こりやすくなるのです。

Q4 体のゆがみをチェックする方法は?

A4 腰の反り具合や腰骨の位置で確認

体のゆがみは、骨盤の傾き具合から確認することができ、「前傾」、「後傾」、「左右の傾き」の、3つに分類されます。
「前傾」、「後傾」の確認方法は、壁に後頭部とお尻、かかとをつけて立ち、壁と腰の距離を手で測ります。骨盤が正常な位置にある場合は、壁と腰の距離が、手指の第二関節を曲げた平たいこぶしが入る程度です。
●前傾
壁と腰の間にこぶしが縦または横に入る。反り腰が主な原因。
●後傾
壁と腰の間が手のひらより狭い。猫背が主な原因。
「左右の傾き」の確認方法は、裸の状態で両足裏を地面につけて鏡の前に立ち、腰骨に親指を水平に当てて、左右の高さを見比べます。
●左右の傾き
左右の腰骨のどちらかが高く上がっている状態。バッグを片方の肩にかけ続ける動作や、脚を組む側が同じなど、日常動作の癖が主な原因。

Q5 体がゆがむとどんな影響があるの?

A5 肩こりや腰痛など様々な症状の引き金に

体にゆがみが生じることによって、次のような症状を引き起こしやすくなります。
●肩こりや腰痛
起こりやすい症状の1つ。背骨のS字カーブが崩れると、僧帽筋や背筋などに負担がかかる。すると筋肉が緊張し、こりや痛みが生じる。
●胃もたれ
骨盤が前後に傾くことで、正常な位置で内臓を支えられず、全体に下がってしまい逆流性食道炎になることも。下腹もぽっこり出やすくなる。
●冷え
骨盤の内側を通っている血管が骨盤の傾きによって圧迫されると、血液循環が悪化し、下半身の冷えを起こしやすくなる。
●月経痛
内臓が下がると、子宮や卵巣などを圧迫。女性ホルモンのバランスが崩れ、月経痛などの月経トラブルを招く。

また、体のゆがみはボディラインにも影響を与え、実年齢よりも老けて見えてしまうことがあります。それには、次の要因が関係してきます。
●胸の位置が下がる
猫背などによって、胸まわりの筋肉の張りがなくなり、胸の位置が全体的に下がってしまう。
●お尻が下がる
骨盤が傾くことで、大殿筋などの筋肉が緩み、筋力も低下。お尻の位置が全体的に下がってしまう。
●脚の長さが変わる
骨盤が傾き、股関節の位置が変わることで、左右の脚の長さが違う状態に。O脚やX脚も招き、バランスの悪い体型や姿勢になる。

排泄にも影響するゆがみ

骨盤が傾き、内臓が下がってしまうと、「骨盤底筋群」という骨盤内の下部で内臓を支え、尿や排便の促進・抑制を行う筋肉を圧迫。すると、下垂した内臓の重みによって、この筋肉がうまく機能しなくなり、尿失禁や便秘を招きやすくなります。

Q6 自分でできる痛みの対処法は?

A6 パップ剤などを上手に利用しましょう

体のゆがみは、肩のこりや痛み、腰痛を招きます。痛みが長く続く場合の一時的な対処法として、パップ剤やテープ剤を活用するのも方法の1つです。皮膚が弱い場合は、かぶれを起こしにくいローション剤やゲル剤、スプレー剤などを利用するとよいでしょう。また、ストレスによる筋肉の緊張が招く肩や背中の痛みには、内服薬の使用も効果的です。
それでも痛みが治まらない場合は、治療が必要な疾患の可能性も考えられるため、早急に整形外科を受診しましょう。

Q7 体のゆがみは自分で治せるの?

A7 正しい姿勢などで改善が期待できます

体のゆがみは、正しい姿勢を心がけたり、筋肉をケアしたりすることで、改善が期待できます。次のことを意識し、健康な体をつくりましょう。
●腹横筋・背筋を鍛える
正しい姿勢を保つには、腹横筋や背筋など、体幹の筋肉をしっかり働かせることが必要。下記のストレッチで筋肉のバランスを強化するとよい。
●柔軟性を保つ
筋肉や関節が硬くなってしまうと、背骨や骨盤を正常な位置に支えられなくなる。体幹の筋肉、太ももの後ろ側の筋肉や背骨、股関節の柔軟性を保つために、ウォーキングなど、適度に体を動かす運動を心がける。
●筋肉の使い方に注意する
物を持ち上げたり、立つ、座るなどの日常動作を行う際も、正しい姿勢を維持する。

これらのポイントを取り入れやすくするために、姿勢を整えるストレッチを行うとよいでしょう。また、骨盤底筋群は日常では鍛えにくい筋肉です。さらに加齢で筋力が低下しやすいため、意識してエクササイズを行いましょう。
監修プロフィール
中村格子先生
Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長 なかむら・かくこ中村格子先生

整形外科医・医学博士・スポーツドクター・医療法人社団BODHI理事長・よこはま健康づくり広報大使・JOC専任メディカルスタッフ(体操(新体操))。横浜市立大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、自治医科大学整形外科等を経て、09年国立スポーツ科学センター医学研究部研究員に。JOC本部ドクターとして、日本代表選手団を数多くサポート、帯同。13~17年、横浜市立大学客員教授として在任。14年、Dr.KAKUKOスポーツクリニックを開院。「健康であることは美しい」をモットーに整形外科医・スポーツドクターとしてトップアスリートを支える傍ら、スポーツと医療の架け橋としてより多くの人の健康で美しい人生をサポートすべく、自身のクリニックのほか、テレビ・雑誌などのメディアでも多数活動。著書に『体のコリがすべて消える 究極のストレッチ』(日経BP)など多数。
Dr.KAKUKOスポーツクリニック https://www.dk-sc.com/
Dr.KAKUKOオンラインクラス
https://dr-kakuko.teachable.com/

今すぐ確認!ドクターズチェックはコチラ

もっと知りたい!動画はコチラ