かぜシーズンの前に必見! 免疫力でかぜを制す

同じような生活を送っていても、かぜをひく人とひかない人がいます。その違いの1つに挙げられるのが「免疫力」。
空気が乾燥し、かぜなどの感染症のリスクが高くなるこれからの季節、自分の体に備わっている免疫力を武器に、かぜや不調を撃退しましょう!

<目次>
Q1.若い頃よりかぜをひきやすくなった気が……
Q2.免疫力の低下をいち早く知るには?
Q3.免疫力を上げるには?
Q4.免疫力があれば、かぜは防げるの?
Q5.かぜを早く治す方法を教えて

Q1 若い頃よりかぜをひきやすくなった気が……。

A1 加齢により免疫力が低下している可能性があります。

「免疫力」とは、ウイルスや細菌などの外敵を退治して体を守る力のこと。体の中で起こっている様々なトラブルに対応、調整する力も免疫力に含まれるため、「自己治癒力」や「回復力」、体調を整える「調整力」という言葉も、つまりは免疫力のことを指しています。
免疫力を担っているのは、白血球を構成している様々な免疫細胞です。体内に入ってきたウイルスや病原菌を食べる「マクロファージ」、常に体内をパトロールし、ウイルス・病原菌に感染した細胞やがん細胞を退治する「NK(ナチュラルキラー)細胞」など、役割も様々。これらの免疫細胞が血液にのって全身を巡り、連携しながら体を守っているのです。
このうちNK 細胞の働きは加齢の影響を受けやすいことが分かっています。加齢による免疫力の変化を見ると、10代後半から20代前半でピークを迎え、その後、徐々に働きが低下傾向に。40代になるとピーク時の半分程度になるとされ、個人差はありますが、加齢と共に免疫力は低下し、かぜもひきやすくなるといえるのです。
加齢の他にも免疫力を低下させる原因はあります。免疫細胞に指示を出す司令塔は自律神経のため、ストレスや睡眠不足などが続いて自律神経が乱れると、免疫力に影響を及ぼします。
「冷え」にも注意が必要です。免疫細胞は体温が37度くらいの時に活発に働くとされ、起床時の平均体温が35・5度以下の人は免疫力の低下が疑われます。

Q2 免疫力の低下をいち早く知るには?

A2 些細な症状でも見逃さないことです。

免疫力が低下すると、脚や顔がむくむ、ささくれができる、爪が割れやすくなるなど、私たちの体には何らかの症状が現れてきます。この小さなサインを見逃さず、早めに適切なケアをしたいところですが、いずれも些細な症状のため、気づきにくいのが実際のところです。
免疫力が低下した状態が続くと、かぜをひきやすい、口内炎ができる、疲れやすいなど、はっきりとした症状が現れます。深刻なケースでは、がんに感染した細胞を退治してくれるNK 細胞の働きが悪くなり、がんにかかるリスクが高まってしまいます。自分の体を日頃からよく観察し、早めのケアを心がけることがとても大切なのです。

POINT 口内炎のセルフケア

免疫力が低下した時に起こりやすい口内炎。再発を繰り返したり、歯周病がある人は歯周病菌が患部に感染したりして、不快な症状が長引いてしまうことも。口内炎の市販薬には塗るタイプや、貼るタイプなどがあり、利用すると早く治療できます。

column 気が張っている時はかぜをひかない!?

忙しくて気が張っている時はかぜをひかないのに、気が緩んだ途端、かぜをひいてしまった経験はありませんか? 気が張っている時は交感神経が優位な状態で、アドレナリンという興奮ホルモンが分泌されています。実はかぜ薬に含まれるdl-メチルエフェドリン塩酸塩は、アドレナリンと似た働きをし、交感神経に作用する成分です。つまり、気が張っている時というのは、いわば、かぜ薬をのんでいる時と同じ状態。かぜをひきにくいのはこうした理由も1つと考えられます

免疫力チェック! こんな症状ありませんか?

Q3 免疫力を上げるには?

A3 質のよい睡眠をとり、体を温めることがポイント。

免疫力を上げるためには、ぐっすりと深く眠り、起きた時に疲れがしっかりとれている質のよい睡眠が欠かせません。質のよい睡眠をとると成長ホルモンが多く分泌されて免疫が活性化し、不調や病気の予防に役立ちます。
また、冷えを防ぎ、体の内側から温めて臓器の働きをよくすることも大切です。特に体中の免疫細胞の7割が集まっている腸の働きをよくすることは、免疫力アップの要です。食事の際は、下図のようなポイントをおさえるようにしましょう。

Q4 免疫力があれば、かぜは防げるの?

A4 ウイルスや細菌を侵入させないケアも必要。

かぜをひかないためには、日常生活の工夫で免疫力を上げることが大切です。しかし、それだけでは不十分。マスクの着用や手洗い、うがいなどを心がけ、ウイルスや細菌を体内に侵入させないようにしましょう。かぜが流行している時期にウイルスや細菌に対して無防備でいると、いくら免疫力があってもかぜをひくリスクは高くなります。感染を直接的に防ぐ基本は下記の3つ。うがいはドライマウスや口内炎の予防にも効果的です。

column かぜをひいてしまってからも手洗い、うがいを!

かぜの原因となるウイルスは、約200種類も存在します。かぜをひくと体力を消耗し、免疫力はさらに低下。この状態の体には別のウイルスが侵入しやすく、二次感染を招いてしまいます。かぜをこじらせる二次感染を予防するためにも、かぜをひいてからも手洗い、うがいを行い、新たなウイルスの侵入を防ぎましょう。

Q5 かぜを早く治す方法を教えて

A5 むやみに熱を下げず、免疫力を活かしましょう。

かぜの予防に免疫力が必要なことはよく知られていますが、ひいてしまったかぜを治すのにも、免疫力が欠かせません。免疫力をサポートしながら、かぜの段階に応じたケアをすることが、早期回復につながります。
かぜのひき始めに熱が上がるのは、ウイルスや細菌と闘うために免疫を活性化させているからです。この段階では、熱を上げる力をサポートするために、積極的に体を温めましょう。かぜのひき始めに解熱剤を使ったり、無理に汗をかいたりすることは、体を冷やしてしまうのでNG です。
また、この時期に果物を摂るのは控えたほうがよいでしょう。ビタミンが豊富というメリットはあるのですが、カリウムが含まれているために利尿作用があり、体温を下げてしまうデメリットもあります。
汗が出始めたら、ウイルスや細菌との闘いのピークは過ぎ、かぜは治りかけています。この段階のケアのポイントは、消耗した体力を水分と栄養でしっかりと補うこと。ここでは果物を積極的に摂り、利尿作用を活かして体にたまった毒素を排出していきましょう。
市販のかぜ薬は、咳や鼻水などのつらい症状を抑えて体が回復する力、つまりは免疫力をサポートするためのものです。ひき始めに、上手に活用するとよいでしょう。

POINT 水分が大事な理由

水分が不足すると、鼻やのどの粘膜の機能が低下してしまいます。粘膜はウイルスなどの侵入を防ぐ働きをしているため、水分不足は二次感染を招きやすくします。
監修プロフィール
今津嘉宏先生
芝大門 いまづクリニック院長 いまづ・よしひろ今津嘉宏先生

1988年 藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室、同大学医学部漢方医学センター助教、WHO intern、北里大学薬学部非常勤講師などを経て、2013年芝大門いまづクリニック開設。藤田医科大学医学部非常勤講師。慶應義塾大学薬学部非常勤講師、北里大学薬学部非常勤教員。著書に『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)など。